切ない恋に気づいて
小木津への恋心を認めざるを得なくなり、二人を避け始めた頃の蓮の話。
小学6年生冬のお話。まだレンレンはピュアです(笑)
最初からわかっていた。
本当は気付いていた。
それでも、かっこいいからつい目で追ってしまうんだと、かっこいいからその笑顔にドキドキしてしまうんだと、そう無理矢理思い続けていた。
けれど、どんどん仲良くなっていくにつれ、そんな風に自分の気持ちを誤魔化していくのが難しくなっていった。
「早瀬〜。お前も入る? トモも来るぞ」
昼休み、小木ちゃんからサッカーに誘われ、仲間に入れてもらってよく一緒に遊んでいたけれど。
「あー……ごめん、俺ちょっと……」
「そ? んじゃまたな!」
年が明け三学期が始まってからは、ずっと断り続けている。
サッカーボールを持って、友達と笑いながら廊下を歩く小木っちゃんの後姿を見つめた。
話しかけられるだけで、心臓がドキドキ鳴って嬉しくて。
でもその後必ず胸が締め付けられる。
――小木っちゃん……。
想いを伝えなければこのままずっと友達でいられると思っていた。
けれど、自分が思う以上にこの想いは大きくなっていた。
小木っちゃんの周囲に群がる女の子だけでなく、気が付けばトモにまで嫉妬する始末。
一緒にサッカーをやっていても、二人の息の合ったコンビプレーに胸が痛んで。
3人でいても兄弟同然で育った二人の独特な空気、その関係が羨ましくて羨ましくて、仕方がなかった。
それにトモは勘が鋭い。
小木っちゃんにこんな想いを抱きながら、トモの近くにいるが怖かった。
トモは俺を一番の親友だと言ってくれるのに、俺もトモの事は親友だと思っているのに、一緒にいるのが辛くなっていた。
でもあと2ヶ月。
そしたら卒業だ。
もう少しの辛抱。
中学生になったら、部活もあるし新しい友達も増える。
今から距離を置いておけば、新しい毎日に二人も俺の事なんて気にならなくなるに違いない。
この気持ちがバレてしまう前に。
――ゴメン、トモ。小木っちゃん……俺もう一緒にいれらない。
・・・end
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