そのまま耳たぶを軽く噛み、その中に舌を入れた。
「んんーっ」
ビクッと蓮の躯が小さく震える。
「蓮……蓮……」
名前を連呼しながら耳裏や首筋に舌を這わせ、右手で素肌を撫で上げた。
「ん……あっ」
ずっと触りたかった蓮の肌。風呂上がりの姿を見る度、ずっとドキドキしていた。Tシャツの下の素肌を触りたいと思っていた。
その肌に触れている感覚に、感動で躯が震えた。
抵抗を止めた蓮からTシャツを脱がすと、露わになった蓮の躯を前に、ますます気分が高揚していった。
とうとう蓮を抱くんだ――。
思わず生唾を飲み込んだ。
目の前に晒された躯は、野球をやっているだけあって、筋肉で引き締まっている。
「じ、じろじろ見るなよっ」
じっとその裸を見下ろしていると、さっきまで大人しくしていた蓮が、真っ赤な顔をしてキッと睨んでいた。
「たいして違わないだろっ、お前とっ」
「や、すげーキレイ。思わず見とれてた」
ふ、と笑うと、キレイに筋肉の付いたわき腹へキスを落とした。
「な――っ、あっ、あ、ん……っ」
ちゅ、ちゅっと躯中にキスを落とすと、文句の代わりに甘みのある嬌声が上がった。
蓮を手でイかせた時にも聞いているが、蓮の震える声はなんでこんなにクるんだろう。
躯だって女の子のように線が特別細いわけでもない。むしろ自分の方が細いくらいの、筋肉の付いたしっかりした男の躯なのに。
それなのに、なんでこんなにも煽られるのか。
蓮の反応を見ているだけで、ゾクゾクと躯が震える。
――早く、挿れたい。
自分の欲でよがる蓮の可愛い声をもっともっと聞きたい。
その掠れる声で「トモ」と呼ばれたい――。
「んっ、は……っ」
もう一度深く口付け、舌で蹂躙する。
左手は綺麗な肌の上を滑らせ、空いている右手と足も使って、蓮の穿いていたジャージを下着ごと脱がせた。
上半身への愛撫とキスで、すでに充分に反り勃っている蓮の下半身が露わになると、右手でそれに触れた。
「んっ!」
蓮の腰が跳ねる。
逃げるように身を捩るが、それを許さずぎゅっと握った。
「ん、……は……あっ」
唇を重ね、舌を絡ませながら蓮のものを夢中で愛撫すると、ビクビクと小刻みに震え蓮の腰が浮く。
「……はっ、あ……」
銀糸を引きながら唇を解放した時、蓮の口から零れた熱い息にぞくっと全身が総毛立った。
「蓮……お前エロすぎる」
思わずそう呟くと、「え?」と蓮が閉じていた目をうっすらと開けた。
――う、わっ!
上気した頬と、唾液で濡れた唇、そして熱で潤んで揺れる瞳が俺を見つめる。
――や、ばいっ! マジで俺が持たねぇ……!
とっさに目を反らしてしまった。まともに見れない。
理性がボロボロと崩れていく音が聞こえる。
一回蓮をイかせた方がいいかなと思っていたが、そんな余裕なかった。
「ごめん、蓮。俺もう我慢できない」
「えっ?」
膝裏に手をくぐらせると、ぐっと脚を持ち上げた。
「ちょっ、ト――っ」
そして溢れてこぼれた蓮の雫を絡めた右手を、すぐに双丘の奥に潜り込ませた。
「えっ! ちょっ、待……っ」
「待てねぇっつったろ」
慌てて脚を閉じようとするが、それを制し固く閉じられているそこへ強引に指をねじ込む。
「ひっあっ、あぁ……っ」
痛みなのか不快感なのか、蓮はぎゅっと固く瞳を閉じ眉をしかめて堪える表情をしている。
「蓮、ちょっとだけ、我慢して」
蓮の様子を見ながら、熱くキツい中で蓮の感じる場所を探して指を動かす。
――えっと、この辺だった気が……っ、くっそどこだよ!
女の子との経験はあってもさすがに男は初めてで、この時のために俺は事前にネットで色々調べていた。
その知識を今、頭をフル回転させ駆使しようとするが、早く蓮の中に入れたいという焦りでなかなかうまくいかない。
「ん、あっ、ん……っ」
一本ずつ入れる指を増やし、入り口を広げながら必死に蓮の場所を探す。
――くっそっ、ダメだ。わかんねぇ。
しかし、それがなかなか見つからない。
気が焦り、これ以上時間をかけていられないと諦めかけたその時、
「――あ、はあぁっ!」
無意識に、く、と指を曲げた場所で、蓮からさっきまでと違う声が上がった。
「あ、え、ここ?!」
興奮で全身がゾワッと震えた。
「あ!やっ、ト――、あっ!」
見つけた場所を指で突く度、蓮の躯が大きく跳ね、顎が上がる。
「や、あ、あっ……ん、はぁ、あっ」
――なにこれ……やばっ
見つけた。
ここが蓮の「場所」だ。
触れるだけで小刻みに震える躯と、甘く色めく蓮の声にゾクゾクと躯が震えた。
「ト……、モっ、や……、め、あっ、あぁ、ンっ」
いやいやをするように首を何度も振り、許しを請うように蓮が俺を見上げる。
「れ――」
あまりに官能的な光景に、思わず息を飲んだ。
下半身がドクドクと熱く高ぶっていくのがわかった。
――こいつ……っ、あーもうっ
指なんかじゃなく、自分の欲で蓮を感じさせたい。
俺ので蓮をもっとトロトロにさせたい。
俺の中で何かが切れた。
「蓮。俺の、挿れるな」
そう言うと勢いよく指を引き抜き、蓮が欲しくて震えている自分の欲棒をあてがった。
「蓮――っ」
余裕がなくなっている俺は、一気に蓮の躯を貫いた。
「ひ、あぁっ……!」
蓮の口から短い悲鳴が漏れる。
「っ?!」
危うく挿れた瞬間にイッちゃいそうになった。
――なにこれ! めちゃくちゃ気持いい……っ
蓮の中は熱くキツいけれど、今までに経験したことがない、信じられないくらいの快感だった。
内壁が蠢いて自分に絡み、じっとしているだけでどんどん熱が上がる。
ゾクゾクする。
「蓮、お前の中、やばいくらいにすげーいい。すぐイッちゃいそう」
肩で息をしている蓮を気遣うように、そう言ってキスを落とすと、
「……っん。な、ら、よか、た……っ」
蓮がふっと目元を細めて笑った。
――ちょっ、そーゆーの今言う?!
予想してなかった返事を蓮が言い、あまりに不意過ぎて慌てた。
この余裕のない状態で、急に素直になられても困る。
――あ、もしかして余裕がないから?
「蓮、動くから俺の手握ってて」
もしかして感情が高ぶると素直になるのかもと、手を差し出すと、
「ん……っ」
迷わずぎゅっと俺の手を握った。
しかも何も言ってもないのに、縋るようにちゃんと一本一本指を絡めて。
――う……わ。やばい。可愛すぎるっ
無意識に素直になっている蓮が、ますます俺を高ぶらせた。
「う、動くよ」
これ以上ゆっくりしてられないと、繋いだ両手をシーツに縫いつけ、ゆっくりと腰を動かし始めた。
「――はっ、あっ!」
最初は痛そうに眉をしかめたが、先ほど見つけた場所に当てるように腰を押しつけると、蓮の声の色が変わった。
重ねた手がぎゅっと握りしめてくる。
ドキッと胸が鳴った。
息を上げ、俺の動きに合わせるように腰を揺らしている蓮が、愛しくて堪らなかった。
胸が苦しい。
――なんだよ、これ……。
不意に沸き上がった感情に戸惑った。
――わかんね、わかんねぇけど。
ぎゅっと手を握り返すと、蓮にキスをした。
――多分、好きすぎて苦しいんだ。
ふっと、動くのを止めるとぎゅっと蓮を抱きしめ、耳元に唇を寄せ、囁いた。
「蓮、好きだよ。すげー好き」
そしてどんどん溢れてくる愛しさを精一杯込めて。
「……知ってるよ」
精一杯の愛の告白に相変わらずの物言いが返ってきたが、本当の蓮の返事はもう言葉よりも先にもらっていた。
告白した瞬間、蓮は繋いだ手をピクッと反応させ、また小さく躯を震わせるとその中にいる俺をきゅっと締め付けた。
ぶっきらぼうに呟いた時も、その中では俺を煽っていた。
放したくないと言っているように。
――やっぱりお前、俺のこと好きじゃん。
「俺も、知ってる」
そう言ってニヤリと笑うと、「え?」という蓮を見下ろし、再び動き出した。
「あ、あぁっ」
再び、蓮の甘い声が上がった。
「はっ、あ、あっ」
蓮の嬌声が、それに伴って蠢く内壁が俺をどんどん追い込む。
「蓮、トモって言って。蓮、名前、呼んで」
息を上げながら、蓮に言うと、
「あ、あぁっ、ん、ト……モぉ……っ」
熱を帯びた甘い声を上げた。
――う、やっば、想像以上っ、も、無理っ!
その声が胸を締め付け、ギリギリで残っていた最後の理性を崩壊させた。
「蓮、蓮――っ」
蓮の名前を連呼しながら、夢中で突き上げた。
「あ、あ、あ――っ」
それに答えるように、蓮の中も蠢き、熱く色のある甘い嬌声を上げる。
「蓮――っ」
先に俺の欲が蓮の中弾け、それを受けてすぐに蓮も熱を解放した。